マルタニシ

国内では北海道南部以南の河川下流から中流域、湖沼、水田、ため池の砂泥、水草中などの止水域に生息すると言われるが、北海道内での分布は比較的広い。農薬、水質汚濁、用水路の改修、水田の乾田化等の影響の少ない水田を含めた低湿地には現在も比較的多くの個体が生息する。かつては食用にされるほど普通に見られたが、近年の河川改修や農薬、水田の乾田化、水質汚濁などのために生息数が減少している種である。
生態は、雌雄異体で卵胎生である。水温が15℃以上になる6月〜9月に雄と雌が交尾を行い体内受精をおこなう。胎児数は10〜29個である。冬眠は泥中で行う。餌は泥中のデトライタス(有機懸濁物)や水草などで、動物性のものは好まず葉緑体を多く含むものを好む傾向がある。
形態は、オオタニシに似るが螺層によく膨らむことで区別される。殻高は58mm殻径は45mmmに達し、殻表は全体に薄い黄色である。成貝では最高殻高6cmに達するが、通常3〜4cm程度である。胎貝の殻高は5〜7mmである。貝殻では雌雄の判別は不可能だが、雄では右の触覚が曲がっていることで区別をすることができる。

    • -

北海道から沖縄諸島にかけて広く分布するが、少なくとも沖縄諸島産は史前帰化とみなされる。水田や湿地などを主な生息地としているが、ここ数十年の間に、各地で冬季に著しく乾燥させる水田管理が実施されるようになってから、急激に生息地の消失が目立つようになった。
引用:「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物−レッドデータ ブック−陸・淡水産貝類」(2005年、環境省

    • -

産地:シラルトロ沼塘路湖(飯島,2000)


2008年 旭川市